横浜港は、1859年(安政6年)6月2日、国際貿易港として開港しました。


巨大な消費地である東京と、さらにその先に広がる広大な背後圏を持つ我が国を代表する商業港として発展する一方、


京浜工業地帯などの臨海部の工業地帯を拠点とする工業港としても重要な役割を果たしてきており、


これら2つの性格も併せ持った総合港湾として成長してきました。

日本を代表するクルーズポート
横浜港大さん橋



国際客船ターミナル

大さん橋ふ頭は、明治27(1894)年の完成以来、日本の玄関口として国内外の多くの客船をホスピタリティをもって迎え入れ、横浜の発展にも大きく貢献してきました。そして、平成14(2002)年に国際コンペで選ばれた斬新なデザインと当時の最新の設備で機能性に優れた「横浜港大さん橋国際客船ターミナル」がリニューアルオープンしました。
ターミナルは、船を主役とするため、建物の高さをできるだけ抑え、屋上面は波をイメージした緩い曲線を描き、建物内部は柱がなく大空間を生み出しています。また、3万総トン級の客船なら4隻、7万総トン級なら2隻が同時着岸可能です。さらに、ターミナル先端部分には各種イベントに利用できるホールを併設するとともに、屋上は24時間開放の広場となっており、客船の入出港を間近に楽しむことができるなど、みなとまち横浜のシンボルとして、市民と港を結ぶ拠点となっています。


新たなクルーズ拠点
新港ふ頭

明治32(1899)年に着工し、大正6(1917)年に完成しました。関東大震災を経ながらも、赤レンガ倉庫やハンマーヘッドクレーンなどの歴史的構造物を残す唯一のふ頭です。
現在は、みなとみらい21新港地区の再整備により、汽車道や赤レンガ倉庫など市民の身近な賑わい施設が整備されました。また、このほかにも海上保安庁の横浜海上防災基地、令和元(2019)年10月には、新たな客船受け入れ施設として、商業施設とホテルが一体となった横浜ハンマーヘッド(新港ふ頭客船ターミナル)が新たなクルーズ拠点としてオープンしました。


山下ふ頭

横浜港の多彩なふ頭
山下ふ頭

山下ふ頭は、昭和28(1953)年から埋立を開始し、昭和38(1963)年に外貿のための埠頭として完成。昭和30~40年代の高度成長期の横浜港を支える主力埠頭として重要な役割を果たしました。上屋や倉庫が数多く立地しており、近年では本牧ふ頭など主要埠頭を補完する物流機能を担っています。
現在、優れた立地特性を生かし、都心臨海部における新たな賑わい拠点の形成に向けて再開発を進めています。


本牧ふ頭

横浜港の中心的な役割
本牧ふ頭

本牧ふ頭は、昭和38(1963)年に埋立てを開始し、昭和45(1970)年に完成したふ頭です。在来船、RO/RO船からフルコンテナ船まで多様な荷役に対応し、長年にわたり、横浜港の中心的な役割を担っています。
コンテナ船の大型化とコンテナ貨物の増加に対応するため、B・C突堤間の埋立てを行い、BCコンテナターミナルとして、平成17(2005)年12月から全面供用を開始しています。このBCコンテナターミナルは、岸壁とターミナルを一体的、効率的に管理運営し、コンテナ貨物の集中化を促進させるなど本牧ふ頭の主力コンテナターミナルとして稼働しています。
また、D突堤は、施設の老朽化対策やコンテナ荷役の効率化に向けてターミナルの機能強化を進めています。平成26(2014)年9月にD4、令和元(2019)年7月にD1の各コンテナターミナルが再整備を経て再供用を開始しています。
一方、A突堤では横浜港のコンテナ貨物取扱量の拡大と定着を図るため、新たなロジスティクス拠点の整備を進めており、物流機能の一層の強化を図ります。
本牧ふ頭は、横浜港のコンテナ取扱個数の約5割を扱う主力ふ頭として、今後も重要な物流拠点であり、さまざまな輸出入貨物を扱っていきます。


新しい総合物流拠点
南本牧ふ頭

南本牧ふ頭は、増大するコンテナ取扱貨物やコンテナ船の大型化に対応できる最新鋭のふ頭であり、物流形態の変化に対応できる新しい総合物流拠点として、平成2(1990)年から建設が進められてきました。
MC‐1、MC‐2ターミナルは、平成13(2001)年4月に供用を開始し、水深16m・延長700m(350m×2)の連続岸壁として使用できます。平成18(2006)年10月にはコンテナターミナル用地の拡張(5.4ha)も行っています。
MC‐3は平成19(2007)年1月から整備に着手、平成27(2015)年4月に供用を開始しました。また、MC‐4は平成25(2013)年11月から整備に着手し、令和2(2020)年8月に供用を開始しました。これにより、MC‐3・4ターミナルは国内最大・唯一の水深18m・延長900mの連続岸壁及び24列対応のガントリークレーンを擁し、世界最大級のコンテナ船にも対応できる高規格コンテナターミナルとなりました。令和3(2021)年4月から南本牧ふ頭コンテナターミナルはMC‐1~4すべてのターミナルが一体利用を開始、施設全体を柔軟に利用し、高規格な施設能力を最大限に発揮して多方面の航路における船舶の船型やスケジュール等に対応が可能となります。
一方、コンテナターミナルの背後では、物流倉庫や配送サービス拠点、複合物流ターミナル等を備えた総合物流拠点の整備が進んでいます。平成15(2003)年9月から埋立地の一部分譲を開始し、現在9社が稼動しています。さらに、南本牧ふ頭へのアクセスとして、国道357号に連絡する南本牧大橋に加え、南本牧はま道路、首都高湾岸線南本牧ふ頭出入口が平成29(2017)年3月に供用を開始し、広域幹線道路ネットワークを形成する首都高湾岸線や本牧ふ頭との連絡強化が図られています。また、南本牧ふ頭は横浜市内の公共事業から発生する公共建設発生土及び廃棄物等の受け入れ場所としても利用されています。廃棄物の受け入れについては、長期的に安定した廃棄物処分場を確保するために、第5ブロックに新たな最終処分場を整備し、平成30(2018)年度から受け入れを開始しています。


大黒ふ頭

横浜港初の本格的な島式ふ頭
大黒ふ頭

大黒ふ頭は、海上出入貨物の増加やコンテナ化等に対応するため、昭和46(1971)年から平成2(1990)年にかけて埋立てて整備をした横浜港初の本格的な島式ふ頭です。コンテナバース、ライナーバースをはじめ、合計で25バース(総延長:5,250m)が整備されています。
東日本で最初の総合保税地域(FAZ)に認定され平成8(1996)年8月にオープンした「横浜港流通センター(Y-CC)」(延床面積約32万㎡)は、国内最大級の物流施設であり、首都圏における一大流通拠点として、横浜港の物流機能の強化とみなと経済の活性化に大きな役割を果たしています。平成16(2004)年4月には、国道357号線横浜ベイブリッジ区間(本牧ふ頭~大黒ふ頭)が開通し、本牧ふ頭や南本牧ふ頭などのアクセスが飛躍的に向上しました。これにより、ふ頭内にインターチェンジが立地する首都高速道路とあわせ、横浜港背後圏への道路ネットワークが強化された交通利便性の高い物流拠点となっています。
現在大黒ふ頭では、横浜港の主要輸出品目である乗用車・トラックなどの完成自動車及び大型建設用機械の取り扱いに対応するため、コンテナバースからRO/RO船をはじめとした自動車専用船バースへの機能転換を進めています。
令和4(2022)年には、P3・4、T3~8の整備が完了し、日本最大級となる1,400mの連続岸壁で、大型自動車専用船5隻、ふ頭全体で11隻の同時着岸が可能となります。
一方、大黒ふ頭は横浜ベイブリッジを通過できない大型客船の受入にも対応しています。
ふ頭内には、客船ターミナルをはじめ、港湾労働者の福利厚生施設として野球場1面、多目的グラウンド1面、テニスコート4面を有する大黒ふ頭中央緑地や「大黒海づり施設」なども整備されています。